スコッチウイスキーの名門スプリングバンク蒸留所が手がける“ピーテッドタイプ”のシングルモルトウイスキー
『ロングロウ』
唯一無二の香り立ちと奥深い味わいで高い人気を誇る銘柄。
その味わいは、しっかりとしたスモーキーさの中に、甘みや果実味も混在する、いわば「ウイスキー愛好家好みの1本」。その上、初心者でもその世界観に魅了される懐の深さがあり、多くの人々から高い評価を得ています。
シングルモルトウイスキー「ロングロウ」の魅力をわかりやすくレビュー。
この記事では、
- ロングロウの特徴
- 定価や品薄な理由
- 味わいレビュー&コスパ
などなど徹底解説していきます。
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ロングロウとは?ピーテッドウイスキーとしての位置づけ
銘柄 | ロングロウ |
---|---|
蒸溜所 | スプリングバンク蒸溜所 |
定価 | 9,200円 |
生産地域 | キャンベルタウン |
アルコール度数 | 46度 |
飲みやすさ | |
当ブログコスパ評価 | |
味わいを一言で | アイラモルトと異なるスモーキーフレーバー |
ロングロウは、ピーテッドタイプのシングルモルトウイスキー、生産するのはモルトの香水と呼ばれ高い評判のスプリングバンク。
ピート(泥炭)によるスモーキーな香りと、手作業を大切にしたクラフトマンシップで知られ、多くのウイスキー愛好家から高く評価されています。
アイラモルトに代表されるピーテッドウイスキーと比較しても、「ロングロウ」はヘビーピートでありながらどこか上品でバランスがよく、塩気やオイリーさも感じられる独自の個性を持っています。
「アイラの代用品」ではなく、キャンベルタウンモルトのピーテッド代表格”として、唯一無二の地位を築いています。
スプリングバンク蒸留所とロングロウの関係
ロングロウを生み出しているのは、スコットランド・キャンベルタウンにあるスプリングバンク蒸留所。
1828年創業という歴史ある蒸留所で、今では珍しくなった完全自社生産
- フロアモルティング
- ボトリング
上記の両方を行っているスコットランド唯一の蒸留所。
その上、スプリングバンク蒸留所では1つの設備で3つの異なる銘柄を製造しています
- スプリングバンク(中程度のピート・2.5回蒸留)
- ロングロウ(ヘビーピート・2回蒸留)
- ヘーゼルバーン(ノンピート・3回蒸留)
つまりロングロウは、同じ設備を使いつつ、製法やピートレベルを変えることで誕生した、革新的な銘柄なのです。

ロングロウの製法「ピーテッドモルトの奥深さを生む工程とは」
ロングロウは、スコットランド・キャンベルタウン「スプリングバンク蒸留所(Springbank Distillery)」で造られるピーテッドタイプのシングルモルトウイスキー。
その個性は、手間を惜しまない伝統的な製法から生まれています。
自社製麦によるフロアモルティング
ロングロウに使われる麦芽は、蒸留所内のモルティングフロアで自社製麦されています。これは現代のウイスキー業界では非常に稀で、今でも自らの手でモルトを作る数少ない蒸留所のひとつです
出典:スプリングバンク公式
ロングロウの麦芽は、蒸留所が独自に48時間以上ピートによって乾燥させるという非常に手間のかかる工程を経ています。
これにより、モルト全体にスモーキーさが深く染み込み、フェノール値も約50〜55ppmという高い数値に。
これはアードベッグやラフロイグと並ぶレベルでありながら、オイリーさや麦芽のコク、ほのかな甘みとのバランスにも優れているのが特徴です。
ピーテッドとは?特徴と他銘柄との違い
「ピーテッド」とは、麦芽を乾燥させる際にピート(泥炭)を燃やすことで、スモーキーな香りを麦芽に移す製法を指します。
ピートの影響でウイスキーにスモーキーさ、土っぽさ、焚き火のような香ばしさが表れるのが特徴。

同じピーテッドタイプでも、キャンベルタウンモルトとアイラモルト(例:ラフロイグ、アードベッグetc)では印象が大きく異なります。
特徴 | |
アイラモルト | スモーキーなものが多く薬品系、ヨード香、塩っぽさが強い |
キャンベルタウンモルト | ピートは強いが、オイリーさや麦感、微かな甘みとのバランスが秀逸 |
また、ロングロウにはキャンベルタウン特有の“潮っぽさ”や“ミネラル感”が感じられ、スモーキーながらも複雑で深みのある味わいへの仕上がりが見受けられます。
ロングロウのフェノール値は50〜55ppm|スモーキーさの指標とは?
ウイスキーの「ピーティーさ」を数値で表す際に使われるのがフェノール値(PPM=parts per million)です。
これは、麦芽中に含まれるフェノール類の量を示し、数値が高いほどスモーキーであるとされています。
上記でも示したアイラモルト、ピーテッドが信条のウイスキーとロングロウを比較してみましょう。
銘柄名 | フェノール値(ppm) | 特徴的な香味 |
---|---|---|
ロングロウ | 約50〜55ppm | スモーキー、オイリー、甘みと麦感のバランス |
アードベッグ | 約55ppm | 非常にスモーキー、薬品系、ヨード香 |
ラフロイグ | 約45ppm | ヨード香、薬品感、潮っぽさ |
ボウモア | 約20〜25ppm | 柔らかめのスモーク、フルーティさのバランス |
ブナハーブン(ノンピート) | 0ppm | ピートなし、穏やかでマイルドな味わい |
ロングロウのフェノール値は約50〜55ppm。
これは、アイラモルトの中でも特にスモーキーとされるアードベッグTEN(約55ppm)やラフロイグ10年(約45ppm)と並ぶ、非常に高い数値です。
しかし、ロングロウは単に「スモーキー」なだけではありません。
麦芽感・オイリーさ・キャンベルタウン特有の塩気や厚みが、ピート香と絶妙に調和しているため、フェノール値とは異なる“スモーキー意外の奥深かさ”を感じさせてくれます。
そのため、数値上はアイラと肩を並べながらも、穏やかな側面もあり「アイラウイスキーとは違う」と感じさせる個性がロングロウにはあるのです。
二回蒸留で重厚な味わいに
ロングロウはスプリングバンクとは異なり、2回蒸留を採用。これにより、よりオイリーで重厚感のある酒質に仕上がります。蒸留にはワームタブ式コンデンサー(冷却器)を用いており、これがさらにリッチで複雑な風味をもたらしています
出典:スプリングバンク公式
スプリングバンクのメインラインとは異なり、ロングロウではシンプルな2回蒸留を採用。
このことで、原酒に程よい雑味とボディの厚みが残り、ピートの力強さをしっかりと活かした重厚な味わいになります。
さらに、冷却には伝統的なワームタブが使われており、これもまたロングロウのオイリーで濃厚な飲み口に寄与しています。
熟成とボトリングもすべて蒸留所内で完結
ロングロウは熟成、ボトリングに至るまで、すべての工程をスプリングバンク蒸留所内で一貫して行います。
この、ウイスキー製造の全工程を一ヶ所で完結させる姿勢は、クラフトウイスキーとしてのロングロウの価値を高め、品質管理の高さを物語っています。
「ロングロウ」の名前の由来と誕生の背景
「ロングロウ」という名前は、かつてキャンベルタウンに存在していた実在の蒸留所「ロングロウ蒸留所」に由来します。
この蒸留所は19世紀に操業しましたが、その後訪れるキャンベルタウン・ウイスキー不況”の中で閉鎖されました。
スプリングバンク蒸留所は、1973年にピーテッドウイスキーの生産を開始し、この失われた伝統を現代に蘇らせるべく後に「ロングロウ」ブランドを立ち上げ、アイラモルトに迫るヘビーピーテッドなウイスキーの誕生となりました。
つまりロングロウは、かつての伝統から現代へと繋がる「再生されたウイスキー」とも言える存在なのです。
ロングロウは品薄?定価やスペックは?
- 定価:9,200円
- 熟成年数:ノンエイジ
- アルコール度数:46度
- 容量:700ml
ロングロウは、スプリングバンク蒸留所でごく限られた数量しか生産されていないため、年々入手が難しくなっているウイスキーのひとつです。
定価はノンエイジで9,200円と少し高めの設定に感じますが、魅力的な味わいを考慮すればコスパが良いとすら感じます。
しかし、特に近年のウイスキーブームと世界的な需要増により、流通量が少ないうえ、プレミア価格での取引が常態化しつつあります。
「気になっているけど、なかなか見かけない」という人も多いのではないでしょうか。
そんなロングロウの定価やスペック情報と品薄で入手困難な理由を次項で解説。
生産量が少ない品薄な理由とは?
ロングロウは、スプリングバンク蒸留所の中でも極少量しか生産されないブランド。
現在、品薄な理由は主に以下の3つが挙げられます。
- スプリングバンク蒸留自体の製造規模が小さく、伝統的な製法を守っているため生産性が低い
- ロングロウの製造は蒸留所全体の2割程度と限られている
- 世界中のファン・コレクターからの需要が高く、即完売の状況が続いている
こうした理由から、「定価で見つけたら即購入が鉄則」と言われるほど、市場での希少価値が非常に高いウイスキーです。
ロングロウ テイスティング・レビュー
シングルモルトウイスキー ロングロウの評価は?
実際にテイスティンググラスに注ぎレビューしていきましょう。
カラーは透き通ったイエローゴールド。
香りは、柔らかに薫るサーモンの燻製にレモン。バニラと麦芽が甘く混ざり合う。
口に含むと、滑らかでオイリーな舌触り、そこにピリッと心地よいブラックペッパーがまずは印象的。
わずかに蜂蜜のような甘い香り…そこに酸味を伴いながら徐々にピートスモークが現れ主張を増す。
そしてロングロウの特徴とも言うべき塩気もこの辺りからクッキリと感じだす。
軽やかな一面もあるがボディは厚く、アルコール度数の割にカスクストレングスに匹敵する重厚さ、腰の強さを感じ飲みごたえある味わい。その反面、個性的ではあるものの軽やかで伸びやかな印象も。
中盤あたりからはオーキーな味わいがピートスモークと混ざり合い、より立体的で繊細な味わいが楽しめる。
フィニッシュでは、スモーキーな印象が主体ではあるが、最後にウッディで柔らかな甘さが続き綺麗にバランス良くまとめ上げる。
加水すると、スモーキーな味わいはそのままに柑橘系の爽やで軽やかな印象がつよくなり、気高い香り立ちでスプリングバンク蒸留所の原酒であることを再認識させられる。
ロックにすると、シャープでビターな味わい、焦がした麦芽のような味わいがアクセントとなり面白い。
ハイボールにすると、スモーキーな香りが程よく伸びやかで主張が強く、飲み応えのあるハイボールに。
Single Malt Whisky Longrow おすすめの飲み方
ロングロウはストレートの時に感じ取れる抜群の香り立ちと味わいの絶妙なバランスに高い満足度が得られるシングルモルトウイスキー。
ストレートでの味わいが優れているのは、もはや言うまでもない周知の事実。
しかし、加水やロック、ハイボールにした時の味わいの変化が筆者にはとても興味深く、楽しめるウイスキーでもありました。
個人的にはシャープな味わいのオンザロックも捨てがたい…。
ロングロウ「ピーテッドを楽しむ」味・定価は?コスパで評価 まとめ
- スプリングバンク蒸留所が生産するピーテッドウイスキー
- アイラモルトとは異なる香り立ちを楽しむ
- 品薄で入手困難だが飲む価値あり
- 定価なら即買い
3タイプのウイスキーを生産するスプリングバンク蒸留所。
ラインナップ中、最もヘビーなのがこのウイスキー
『ロングロウ』
アイラモルトと同様にヘビーピーテッドでスモーキーではあるものの、その味わいには明確な違いがを感じます。
ロングロウはスモーキーながらも繊細な一面を持っているのと同時に唯一無二の華やかな香り立ち
これが初心者には飲みやすく、ウイスキー愛好家にとってはクセになる味わい。
しかし、年間生産本数が限られており、入手困難と言わざるを得ません。
希少性と個性が共存するロングロウは、まさにピーテッドウイスキーの“知る人ぞ知る”逸品。
ノンエイジの割に少々高い定価設定でありながらも品薄…
それを差し引いても「ウイスキー愛好家ならば一度は味わっておきたい」そんな魅力が詰まった1本でした。
「定価で見つけたら再び即買いかな…」レビュー後に完飲した筆者の感想でした。
評価:コスパ最高
ロングロウ最高峰の一本「ロングロウ21年」
スプリングバンク蒸溜所で年間1度だけ生産される希少ウイスキー
毎年使用される樽の種類が異なり、その味わいも大きく変化します。
高価な価格にもかかわらず万年品薄状態、ウイスキー愛好家が1度は口にしたいと憧れる1本
アラン蒸留所の第2蒸溜所として生まれたピーテッドウイスキー「ラグ」
スモーキーな味わいにアーシーでどこか懐かしさを感じる心地よさ…
スモーキーな味わいだけでなく、香り高いウイスキーを好む方におすすめ。
2014年にアデルフィー社によって新しく生み出された蒸溜所「アードナムルッカン」
ピーテッド原酒とノンピーテッド原酒を使い分けてボトリング。
海に近い蒸留所ならではの潮風のような香り立ち…程よく感じるスモーキーフレーバー…飲みごたえ抜群。
国産ウイスキー初のピーテッドスタイルのウイスキー「厚岸」
北海道の東、海に近い熟成環境もあり、潮気やピートの奥行きがロングロウに通じる
品薄で入手困難ではあるが、飲む価値のあるウイスキー
最後まで読んで頂きありがとうございました。
良いウイスキーLIFEを
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ロングロウの次は華やかで香り高いハイランドモルト↓

スプリングバンク蒸溜所といえばこのウイスキー↓

スモーキーな味わいをさらに増幅↓
