秩父蒸溜所で生産される注目度の高い国産ウイスキー「イチローズモルト」
今やサントリー・ニッカに次ぐ人気で、ウイスキー愛好家のみならず高い知名度を得ています。
今回の記事で取り上げるのは
イチローズモルト リーフシリーズ
秩父蒸溜所の定番ラインナップとして生産されるウイスキーの種類や違いを解説。
定価を一覧で表示し、価格推移やおすすめの飲み方などを記載。
イチローズモルト リーフシリーズは秩父蒸留所で
蒸溜所名 | 秩父蒸溜所 |
---|---|
住所 | 埼玉県秩父市みどりが丘49 |
電話番号 | 0494-62-4601 |
稼働年 | 2008年 |
創業者 | 肥土伊知郎氏 |
「イチローズモルト リーフシリーズ」は株式会社ベンチャーウイスキーが埼玉県の秩父蒸溜所で生産するイチローズモルトの定番ラインナップウイスキー。
イチローズモルトは近年国内外問わず人気絶頂で、ウイスキー愛好家の間でも何かと話題にのぼるウイスキー。
少ない生産量ながらも、質の高さから大変評価が高く注目を集めています。
限定ウイスキーに至っては、新商品として登場するやいなや即完売状態。
海外のオークションで「カードシリーズ」54本が全てそろったロットが、なんと定価とは大きくかけ離れた1億円で落札されるという驚きのニュースが2019年に報じられました。
かなり高額商品になってしまいましたが、カードシーリーズの最後を飾る「ジョーカー」は今や伝説的な一本に…。
肥土伊知郎氏により始動されるウイスキーづくり
イチローズモルトが生産される、秩父蒸留所が建てられたのは2008年。
埼玉県の秩父市にて小規模ながらスタートしました。
創業者の肥土伊知郎氏は、羽生蒸留所を2000年まで稼働させていた東亜酒造創業者の孫で、サントリーに努めていたという経歴も有ります。
肥土伊知郎氏はウイスキーへの造詣が深く、ウイスキー関連書籍の監修を多く手掛けてる事でも有名。
2004年にベンチャーウイスキー株式会社を立ち上げるまで資金繰りなど様々な苦難があった事は有名な話。
しかし苦難を乗り越え、イチローズモルトと名付けた羽生蒸留所時代の原酒を販売。
その頃は現在のウイスキーブームとはかけ離れた状況。
更にここからも苦難の道は続きます。
そのご、紆余曲折あるものの、ウイスキーの品評会など海外でも高く評価され様々な賞を受賞し、現在に至ります。
国産ウイスキーならではの製法
秩父蒸留所はその設備や熟成樽にもこだわりが強く、ポットスチルはスコットランドから輸入した物を使用。
画像の左側が初溜釜で右側が再溜釜、容量は最小クラスの2000L。
加熱方式は間接加熱で蒸気を使って行われます。
発酵槽には日本古来のオーク「ミズナラ」を採用しています。
ミズナラ材を使用する理由は、特有の香りではなく、これまでと異なる乳酸菌の生成にあるようです。
熟成に使われる樽はバーボン樽を基本とし、シェリー樽やワイン樽など様々。
熟成樽の一部は北海道から肥土伊知郎氏、自ら買い付けた「ミズナラ材」を使用することも…
パンチョン樽を製造し熟成に使用ています。
この辺りの製造過程が「イチローズモルト」特有の香木系のフレーバーに繋がり、白檀や伽羅といった心地良く気高い香りを形成している要因の1部となっています。
秩父蒸留所 第2蒸留所の稼働
出典:旭有機材
昨今のウイスキーブームも手伝い、秩父蒸留所のウイスキーは人気を増すばかり。
イチローズモルト ホワイトラベルは、多少流通に安定を見せるものの、他の定番商品であるリーフシリーズでさえ入手困難なほど…。
発売しては完売・終売を繰り返し、市場での高騰や転売も止まりません。
そこに一石を投じるべく、新しく第2蒸留所の建設が2018年に着工されました。
蒸溜所はこれまで生産してきた原酒を継承し増産して行けるように建設
ポットスチルは大きさこそ違えど同形の物を配置していますが、加熱方法をガスを使用した直火炊きに変更しての蒸留。
発酵槽にはフレンチオークを使用、国産のミズナラから変更されました。
2019年から稼働している第2蒸留所ではこれまでの5倍の生産量が望めます。
これはイチローズモルトファンのみならずウイスキー愛好家の大きな希望。
ホワイトラベルの流通が多少安定してきた事を見ても、先行きに期待が寄せられます。
時を重ねるごとに人気が加速していくイチローズモルト。
秩父蒸留所は「Malt Dream ~世界一小さな蒸留所が出来るまで~」としてドキュメンタリー映画化されています。
DVD等の販売は残念ながら無いようです。
秩父蒸留所では現在まだ一般の蒸留所見学を受け入れていないようです。
関係者への見学は行われていますので、一般での蒸溜所見学の方はいつの日か解放される日を待ちましょう。
イチローズモルト リーフシリーズの種類と違い
イチローズモルトが定番商品としてリリースしている「リーフシリーズ」
種類はホワイトラベルを含め全部で5種類。
↓クリックで各レビュー&評価の記事へ↓
イチローズモルト リーフシリーズ各種類の違いは、使用原酒と熟成樽。
それぞれの種類で明確な個性付けが行われた素晴らしいウイスキー。
定価の設定は一律では有りませんが、全体的に高額では無いのにも好感を持ちます。
(値上げ後、ホワイトラベル以外は結構高価なウイスキーになってしまいました…)
流通が少ない事から定価以上の価格高騰が多く見受けられるのが残念な現状。
イチローズモルト モルト&グレーン ホワイトラベル
- 定価:3,850円
- コスパ評価(当ブログ):
レビュー【イチローズ モルト&グレーン ホワイトラベル】香り立つハイボール!定価や味をコスパで評価
イチローズモルト リーフシリーズのフラッグシップ的な存在
「イチローズモルトホワイトラベル」
流通が安定している唯一のモデル。筆者もハイボール用のウイスキーとして最も購入しているイチローズモルト。
モルト原酒だけでなく、グレーンウイスキー原酒も使用。
世界の5大ウイスキーをバッティングして作られるワールドブレンデッドウイスキー。
ハイボールにしても香り立ちが高く、飲み方もまさに万能。
イチローズモルトMWR ミズナラウッドリザーブ
- 定価:8,800円
- コスパ評価(当ブログ):
イチローズモルト ミズナラウッドリザーブMWR『漂う和の格調』飲み方は?定価をコスパで評価
日本古来の香木の香りが漂うウイスキー「イチローズモルト ミズナラウッドリザーブMWR」
上記ホワイトラベルと異なりモルトウイスキー原酒のみを使用したウイスキー。
白檀や伽羅といった華やかながらも穏やかなイチローズモルトらしい香りが表現された一本。
ストレートでもロックでも飲みごたえ有り。
イチローズモルトらしさを体験するならこのウイスキーがおすすめ。
しかし、人気が高く定価での購入が難しいのが現状…。
イチローズモルトWWR ワインウッドリザーブ
- 定価:8,800円
- コスパ評価(当ブログ):
『イチローズモルト ワインウッドリザーブ』定価や飲み方・感想は?赤ワイン樽WWRの味を評価&レビュー
上記イチローズモルトミズナラと並ぶ、リーフラベルもう一つのモルトウイスキー
イチローズモルト ワインウッドリザーブ。
海外産のウイスキー原酒も使用し、熟成には国産の赤ワイン樽を使用。
リーフラベルで最も重厚な味わいなのがこのウイスキー。
シェリー樽熟成のウイスキーに通ずる様なベリー系でフルーティーな味わい。
おすすめの飲み方はストレート。甘く優美な味わいでリラックスした時がおくれます。
イチローズモルトD.D ダブルディスティラリーズ
- 定価:8,800円
- コスパ評価(当ブログ):
イチローズモルト ダブルディスティラリーズD.D『終売前に一度は飲みたいウイスキー』秩父蒸留所
秩父蒸溜所の前身となる羽生蒸溜所の原酒を使用しボトリングされるウイスキー
イチローズモルト ダブルディスティラリーズ。
口にすると吹き抜けるオリエンタルな風…。
イチローズモルトの原点に触れることが出来る、閉鎖蒸留所の貴重な原酒が使われた一本。
おすすめの飲み方はストレートとハイボール。
羽生蒸溜所の原酒が枯渇し、終売してしまう前に一度は口にしておきたいウイスキー。
イチローズモルト モルト&グレーン クラシカルエディション
- 定価:7,700円
- コスパ評価(当ブログ):
味や違いは?【イチローズ モルト“クラシカルエディション”】定価や飲み方・通販は?
前述したホワイトラベルのプレミアム的存在
イチローズ モルト クラシカルエディション
使用原酒のモルトウイスキーの比率が高く味わい深い構成。
発売当初は高い人気から品薄となり価格高騰が続いていましたが、現在の記事執筆時点では定価での流通が多くみられました。
ホワイトラベルと同様に飲み方は万能ですが、ストレートでも更に高い満足度で楽しめます。
筆者はハイボールにした時のバランスの良さが大変好みに合いました。
イチローズモルト リミテッドエディション
- 定価:11,000円
- コスパ評価(当ブログ):
レビュー【イチローズモルト&グレーン リミテッドエディション】定価をコスパで評価&白・青ラベル違いを比較
イチローズモルトのワールドブレンデッドウイスキーの中で最も上位に位置するイチローズモルト リミテッドエディション。
使用される原酒には秩父蒸溜所で10年以上熟成された貴重な原酒も使用されています。
ハイボールはもちろん、ストレートで飲んでも飲み応えがり、イチローズモルトの特徴的な白檀を想わせる香りを感じる事が出来ます。
定価は11,000円、ワールドブレンデッドウイスキーとしては定価設定が少々高く感じます。
しかし、それなりの高い満足度が訪れる味わい…1度は飲んでみる価値のあるウイスキー。
記事執筆時点では定価での流通も確認できました。
イチローズモルト「リーフシリーズ定価 一覧」流通&価格推移に思う所
イチローズモルト「リーフシリーズ」の定価を一覧で表にまとめてみましょう。
銘柄 | 定価 |
---|---|
イチローズモルト ホワイトラベル | 3,850円 |
イチローズモルト ミズナラ | 8,800円 |
イチローズモルト ワインウッド | 8,800円 |
イチローズモルト ダブルディスティラリーズ | 8,800円 |
イチローズモルト クラシカルエディション | 7,700円 |
イチローズモルト リミテッドエディション | 11,000円 |
イチローズモルト リーフラベルのそれぞれの定価を一覧で見ると、熟成年数表記なしのノンエイジにしては少々割高な印象を持ちます。
価格推移でみると、2023年に現在8,800円のウイスキーは6,600円から大幅な値上げが行われ今の価格に。
値上げ以前の定価が、使用原酒を考慮した上でも味わいとのバランスが良く、筆者も幾度となく購入していただけに少々残念。
大幅値上げの中、ホワイトラベルの値上げが400円ほどで留まってくれたのは不幸中の幸い。
発売直後という事も有り、クラシカルエディションへの値上げは見送られています。
2024年、市場での流通価格ですが、記事執筆時点では定価で購入できるのは「ホワイトラベル」と「クラシックエディション」のみで、それ以外は残念ながらプレ値での流通。
イチローズモルトの人気は高く、定番商品のリーフシリーズに至っても例外では有りません。酷い時には定価の2倍近くで販売されている事も有ります。
昨今のウイスキーブームで当然のように設定されているプレミアム価格。一昔前では、生産者が定めた定価より高い値段なんて考える事が出来ませんでした。
その上、オークションサイトなどで高額での転売も多くみられ社会的にも問題視されています。
高級酒を無免許で繰り返し転売か 20代男性行政処分 大阪国税局
出典:NHK
古くからのウイスキー愛好家として、この異常ともいうべき現況に早く終止符が打たれる事を切に願うばかりです。
『イチローズモルト リーフシリーズの種類や違い』定価や流通価格・値上げは?まとめ
- リーフシリーズはイチローズモルトのスタンダードアイテム
- ノンエイジでボトリング
- 使用原酒と熟成樽で差別化
- 定価ならアリかな
イチローズモルトのスタンダードウイスキーとしてラインナップされるリーフシリーズ。
熟成樽や原酒の選定が絶妙でノンエイジながらそれぞれの個性が堪能でき、イチローズモルトの魅力に触れることが出来ました。
大幅な値上げが行われましたが、定価での購入ならば現在もその価値はあると感じています。
特に、ホワイトラベルとクラシカルエディションは定価購入が現状しやすく、コスパも割と良いウイスキー。
タイミングによるかとも思いますが…
記事執筆時点ではリミテッドエディションもネット通販で定価で流通していました。
ストレートでリーフシリーズそれぞれの魅力に触れる…
炭酸と合わせてイチローズモルトらしい香木薫るハイボールに…
それぞれの飲み方で変わる表情…
イチローズモルトの奥深さに触れるにはまずはリーフシリーズから。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
良いウイスキーLIFEを
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